第50回 賃貸を取り巻く昨今の問題‥隠れ空き家

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今年も3月11日がやって来ました。

“あの日”から14年が経過しますが、復興が進むにつれ、新たな問題が出てきているようです。

3.11に関連した報道が多くなるこの時期、“災害復興住宅の隠れ空き家”について解説しておりました。

報道によると、岩手県・宮城県・福島県の12の地方自治体の“災害公営住宅”で、108軒の“隠れ空き家”があり、問題となっていると。

“隠れ空き家”とはなんでしょう?

 

災害復興住宅とは、ご自身で家を再建出来ない被災者の為、自治体が建てた賃貸住宅となります。正確なデータは持ち合わせておりませんが、概して若い世代よりも高齢者の方の比率が高いと思われます。その高齢者も震災から14年を経過し、最初は家族と住まわれても、やがてお一人になり、最終的にはその方もお亡くなりになることケースが年を追う毎に多くなっていくでしょう。

本来は、残されたご家族の方が家財道具等を処分し、賃貸契約を解除する手続きをするのですが、災害で家族を失った方、家族が居ても連絡が取れない等の理由により、賃貸契約が解除出来ず、生活用品がそのままになった住宅を、“隠れ空き家”というそうです。つまり、住む人が居ない部屋なのに、次にこの住宅を必要としている方に貸すことが出来ないという状況です。

この問題は、災害復興住宅だけの問題ではなく、ここ10年、賃貸住宅では、普通に起きている問題です。いわゆる、“お一人様、高齢者が住む家が無い”といった問題です。

実はこの問題解決に有効な制度が20年以上前に成立しております。“死後事務委任契約”という制度です。自分の死後、財産の整理や、契約関係の解除等を本人に代わってやっていただく人(多くは、民間企業)と、生前に契約しておく制度です。

最近は、“終活”と言う言葉も一般的になってきましたね! ただ、いくら終活をしても、自分の死後は自分では何も出来ません。ですから“お一人様”の場合、終活の一環として生前に“死後事務任意契約”を結んでおく必要があるのです。

 

どうでしょう皆さん、この制度、ご存じでした???

我々大家は、高齢者の独居後に起こる問題解決の手段として承知していることが多いですが、一般の方にはまだまだ馴染むがないですよね?

正直申し上げて、この手の問題はもっと行政が踏み込んで解決する手段を、法整備していく必要があると、私は思います。

話はちょっと逸れますが、介護保険が始まったのは20年以上前。その当時、既に“家族による介護”は崩壊しており、“社会全体で介護する”という趣旨で介護保険が始まりました。

介護の後に来るのが、残念ながら“死”です。現代では、“家族の死“さえも、家族で処理しきれない、それが現実的な問題として、”隠れ空き家“という言葉に現れていると私は思います。

人は誰でも、”生(子供や動物)“には暖かい目を向けますが、”死“からは目を背けます。

今、改めて人の死と住環境について考える時期に来ているのではないか?と私は思います。