第47回 騙される脳

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「大家の私自身が住みたい賃貸住宅」、これを実現するのが私の仕事と思っております。

その為にリノベーションをしたり間取りを考えたりする際、私は自分の勘をほとんど信じません。一番重視すべきは、入居者様の感性であり、多くの入居希望者様と接している仲介店の営業さんの意見です。それを究極に具現化したのが、“オーダーメイドリノベーション”です。

“自分の勘を信じない”っていう点で、先日面白い話を聞きましたので、今回はそのお話をご紹介したいと思います。

表題の“騙される脳”を見て、皆さん、どうお感じになりましたか? 

まず、写真をご覧ください!鏡に映った画像、実物(手前)と全く違う姿が写っていますね!もちろん、鏡に仕掛けはありません。これは“3D版の騙し絵”です。

詳細は、↓をご覧いただくとして・・・・
https://lab-brains.as-1.co.jp/enjoy-learn/2023/08/50687/
(引用元=「Lab BRAINS」および「杉原厚吉先生」)

これを研究している先生方の話がもの凄く面白かったので続けます!

我々が日常目で見ている風景・モノって、ほぼすべてが“立体=3D”です。ところが、それを目のレンズで焦点を合わせ、画像として網膜で認識する際には“平面”として認識しているそうです・・・・その画像には“奥行はない“そうです。実際、片目では奥行が分からないですよね!

この先生はそこに気が付き、“もしかして、脳は騙されている???”と思い、立体の研究を始めたそうです。

この“3D版騙し絵”だけでなく、人間の脳は簡単に騙されるそうです。

例えば、こんな実験があります。

治験者にVRゴーグルを装着させ、最初に“冷麺”を食べて貰います。この時VRゴーグルには“冷麺の映像”を投影するのですが、同じ治験者に“今度は日本そば”と偽って、最初と同じ“冷麺”を食べさせます。その際、VRゴーグルには“日本そば”の映像を投影すると・・・・治験者は、“日本そば”と認識してしまうそうです・・・それが“ラーメン”でも同じ。“焼きそば”に至っては、実際には汁に浸かった冷麺なのに、“汁がない焼きそば”だと信じ込む・・・・・

人間の脳がいかに簡単に“視覚に騙されるか”を如実に示した実験です。

我々は“みんな同じように見えている!”というモノが、実は、“ヒトそれぞれに、見え方が違う!”ってことですね!

“そんなこと、言われなくても当たり前!”と思いますよね! 

“脳”っていうと、鍛錬すれば際限なく優秀な思考を生み出すもの!というイメージがありますが、実際には、不十分なデータ(目で見た3Dデータを2Dデータに変換したもの)を、過去の経験や記憶により、イメージとして“3Dデータ”に変換している・・・その過程には“曖昧さ”や“騙し絵的な要素”に引っ掛かりながらイメージが作られている、それが立体を研究した先生方の結論だそうです。 

そして当たり前のことながら、ヒトの脳はヒトそれぞれ・・・・だから違って当たり前!

私自身、自分の“美的センス”には全く自信がありません。自信がないからこそ自分の勘に頼ることなく、私が信頼するパートナーさんの意見を取り入れるという手法を使ってきました。

今回、この”騙される脳“のお話を知って、”自分が見えている風景とお客様が見る風景は違って当たり前“であることを改めて認識し、その上で、場数を踏んでいるパートナーさんの脳の方が、普段お客様と接しているが故に、”騙される脳“であっても、”いい方向に騙される“と思った次第です。