リノベについては、過去3回お話をさせていただきましたが、今回は各ステージで、どんなリノベ事情だったか、お話をさせて頂きます。
第7回で、“一番最初のリノベ”についてお話させて頂きました。
2010年当時、リノベと言えば、実需=自宅用に中古マンションを購入し、予算に応じて間取り・設備を新調するビジネスとして既に全国にそれを担う業者は存在しました。
しかし、当時は“賃貸に特化したパートナーさん”は殆ど存在しませんでした。“存在しなかった”というのは言い過ぎで、少なくとも地方都市である“静岡市”には無かったということです。
そこで、我が家は最初に4戸のリノベを実施するにあたり、賃貸マンション専門建築会社と、管理会社3社に、それぞれ違うプランで任せました。
私も初めての経験ですので、図面で全部理解できる訳ではありません。工事が始まってすぐ分かったことは、“建設会社は、中を全部ドンガラにしないと造れない”、“管理会社の原状復帰担当のパートナーさんは、ドンガラにしてしまっては造れない”ということ。
そして、建設会社の作品は、新築と同じで万人向け仕様に対し、管理会社の作品はユーザーニーズに基づいた一点ものという点でした。
どちらに軍配が上がる!っていう話ではありませんが、彼らも “初めての仕事”ですから、お互い、学ぶことは多かったですね!
次に空室が出た時にお願いしたパートナーさんは、いわゆる“デザイナーリノベ”、それも賃貸に特化したパートナーさんでした。
“なんだ、静岡にもそういうパートナーさん、居るんだ!”と思いましたが、実はこのパートナーさんは、福岡のリノベ企画会社のFCメンバーでした。
当時、賃貸のバリューアップが求められていた地域は福岡と大阪、どちらも空室が多い激戦区でした。やはりニーズがある所には、対応する業者さんが生まれるんですね!
FCの強みは、FC本部のインフラを使えるってこと。当時はまだ知名度は低かったでしたが、全国でリノベ賃貸物件に住みたい!と思うと、大体この会社のHPにたどり着きます。そしてそこから静岡へ!
つまり、お客様と直接パイプを持つことも可能となりました。
そこで私が始めたのが、第1回でご紹介した“オーダーメイドリノベ”でした。
このパートナーさんとの仕事はその後数年続き、我が家のリノベの約半分はこのパートナーさんの作品です。
但し、同じことを続けていると、“マンネリ”に陥ります。それまでは、かなり思い切って“ドンガラ”に近いプランを進めてきましたが、2015年以降は、別のパートナー様にお願いするようになりました。
その頃には静岡にも、賃貸物件のリノベを手掛けるパートナーさんが複数存在するようになってきましたので。
この時期以降東京では、“DIY物件”というのが出始めました。入居者様が自分の好み通りの部屋を自分で作り上げるというコンセプト、現状復帰は必要ありません。
先日セミナー講師としてお話を伺ったMayaさん、彼女は地方から東京に出て来た際、最初に住んだ賃貸が“DIY戸建て”だったそうです。
Mayaさん、もともとは“グラフィックデザイナー”で、アート感覚は抜群。それで自分が借りている部屋を自分の思い通りペイントしたそうです。
それを見た大家さんが、“これは素晴らしい、是非情報発信させて欲しい”ということになり、大家主催の“お部屋見学会”が開かれたそうです。
集まった大家さん方はみなビックリ。“壁紙を選べる”というリノベは既に存在しましたが、アートを取り入れたリノベは新鮮そのもの。
大家さん達は口々に、“これ、ウチの物件でも仕事としてやってくれない?”と瞬く間に引っ張りだこ。
Mayaさんはグラフィックデザイナーから見事転身、今は脚立を担いで全国の現場に出向いているそうです。
私なりに理解したそのコンセプトは、“オンリーワン!”。そりゃそうですよね、アート感覚に裏打ちされた作品ですから!
Mayaさんは基本、木工工事はなさいません。しかし、原状復帰の際に、管理会社が大工さんをアレンジすれば、間取り変更+アートというコラボも可能。実は我が家の管理会社はこの手の仕切りが大得意!
幸い、我が家ではリノベ未実施の7戸は、長くお住まい頂いているので、現時点では空室は無いのですが、次にこの7戸で空きが出たら、是非この“アート・オンリーワンコンセプトのお部屋”に挑戦してみたいと思っております。