第11回 賃貸住宅とペットについて その2

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前回、“昔は、ペット可の賃貸は限られていたが、今はペット可の物件が多くなっている”というお話をさせて頂きました。

更に、一歩進めて“ペット専用=ペットとご一緒の方のみ入居可”のアイディアも述べさせていただきました。

“ペット専用”はまだ時期尚早として、“ペット可”の物件について、大家としてどう見るかを述べさせて頂きます。

大家は賃貸住宅を建設する際、“どんな方にお住まい頂くか?”ということを考えます。その端的な例が、“ファミリータイプか単身者向けか”です。いずれも、建設後にそのターゲットを変更することは難しいです。

“ペット可”物件も、本来的には同じで、新築時に“ペット可”としておけば、玄関前にペットの足を洗う設備を用意したり、高層のエレベーター付きであれば、“ペット乗車中ランプ”等がついたエレベーターを設置することができます。

しかし、昨今“ペット可”賃貸が増えているのは、既存の賃貸住宅の空室を埋めるために、従前は“ペット不可”であったものを“ペット可”にするケースがほとんどです。この場合、当然のことながら、既にお住まい頂いている入居者様の“ペット可への同意”が必要で、原則、一人でも反対の方がいらっしゃった場合には、“ペット可には出来ない”と、私は考えますが、正直、社会的に認識されているルールは存在しないのが現状です。

そのような状況下、“ペット不可物件”でペットを飼われる入居者が問題となる事例が散見されます。大型犬は無理にしても、原則大きな声・音を出さない猫位なら・・・と安易に考える入居者がある一定数いる、ということです。

当初はバレなくても、これは明らかにルール違反ですし、“散見される”ということは、大抵のケースで“バレる”ということです。

大家としては、一度お住まい頂いた入居者様には、できるだけ長くお住い頂きたいのは、山々ですが、ルール違反を見逃すわけには参りません。解決策は2つ、ペットを手放していただくか、退去頂くか・・・・

入居者としても、いきなり退去と言われても余分な費用が掛かります。一般論として次に探す“ペット可”物件の方が、家賃も初期費用も高くなります。退去の際の現状復帰工事費用も、確実に高くなります。なぜならば、その物件は、“ペット不可”物件であって、次にご入居頂く方が、“ペットアレルギー”である可能性もあるので、通常以上の費用を掛けて念入りに現状復帰工事を実施する必要があるからです。

ちょっと考えただけでも、10万円単位で余分な支出を強いられます。

ルールを破ってペットを飼われた方のリスクはそれだけには留まりません。上記で、“次にご入居頂いた方がペットアレルギーかもしれないので念入りな対処が必要”と述べましたが、そのような対策をしても、絶対に“ペットアレルギーという健康被害は出ない”とは言えません。

ご存じのように、アレルギーは個人によりその症状はまちまちです。もし、次の入居者様がペットアレルギーで健康被害を受けられた場合、最悪、ルールを破ってペットを飼育していた全入居者にその責任を問われる可能性は十分考えられます。

実際のところ、私が調べた限りでは、そのような事例は表立ってはいませんし、裁判になった、との事実も確認できませんでした。が、表面上問題になっていなくても、将来、大問題となる可能性があることも否定できません。

ですので、ペットを飼われている方で、賃貸へのご入居を考えている方は、間違いなく“ペット可”の賃貸を探すべき、と、私は考えております。

かくいう弊社ご提供の賃貸物件はすべて“ペット不可”ですが、お部屋探しの際に、仲介の営業の方が、“ここはペット不可です”と伝えても、“それは分かっているけど、もう一度、大家さんに聞いてください!”という、お部屋探しのお客様がいることも事実ですので!