第7回 一番最初のリノベーション!

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「大家の私が住みたい賃貸住宅」、このコンセプトは、ホームページ全体および過去のオーナーコラムで触れさせていただきました。

しかし、私自身は建築を学んだ訳ではありませんし、インテリアや間取りを体系的に勉強したこともありません。

ではどうしたか?

オールウィンでは、年間4-8戸の入退去があります。その都度、パートナーである仲介会社にお部屋探しの皆さんをご紹介頂くわけですが、2010年の夏、退去があっても募集をしませんでした。

その代わり、各仲介会社さんに“リノベーションのコンペ”を実施しました。

リノベーションを工事するのは建設会社ですから、普通は建設会社に提案させます。

ではなぜ、仲介さんにコンペを実施したか?

それは、お部屋探しの皆さんのニーズを一番知っているのは仲介さんだから!

日々、お部屋への希望を聞いている仲介さんだからこそ、“こんなお部屋があれば、入居者様は満足するのに”という情報をたくさんお持ちです。

夏から秋にかけてコンペを実施し、施工は冬、繁忙期となる2月には完成する、これが条件!

コンペの過程で、仲介さんのプレゼンを受け、図面をチェック、どういうコンセプトの家か、私が住みたいか? を確認し、最終的に、そのシーズンは4戸のリノベーションを発注しました。これが私にとって最初の“リノベーション”でした。

4戸の発注先は、4社の仲介さん。普通なら1社に纏めて発注し、“その分安くしてね”というのが手っ取り早いです。しかし、それでは4戸が同じ間取りの“金太郎飴”になってしまい、私にとっては、リノベーションの意味がありません。

当時のエピソードを2つ。

一つは、2LDKにも1LDKにも使えるお部屋。南側の二間を“壁収納型の建具”を使い、20畳以上の大空間として、あるいは、14畳のLDKと、6畳の“もう一部屋”という間取り。特殊な建具は、コスト的には不利なのですが、新しいことをするには、新しいアイディアが必要ですし、何よりも、“自分でも住んでみたい!”と思った間取りでした。

もう一つは、“1LDK”の提案。正直、これは“想定外”でした。北側に寝室を用意し、南側は20畳以上のLDK!

我が家のもともとの間取りは“3LDK”で、ファミリーを想定していました。1LDKというと、単身者向けというイメージが私には強く、“違和感”を感じました。

その点を提案してきた仲介さんに質問すると、“大きなTVを見たい!というニーズがあるんです”とのこと。

今では60インチ以上のTVが当たり前の時代ですが、2010年当時は40インチのTVが10万円を切ってきた時代。しかし、賃貸ですと普通のお部屋は6畳、LDKでさえ広くても10畳ほどで、とても40インチのTVを置くことは想定されていません。

ところが、南側をLDKにすれば、最大7m、20畳のスペースが確保出来ます!

“そういうニーズがあるのは分かりました。でも、もしその方が退去した後、直ぐに同じニーズの入居者様を見つけてこられる?”と質問。つまり、100人全員に気に入ってもらう必要はないけど、100人のうちそのニーズが1人では困る訳です。

そうしたら、“100人いらっしゃれば、5人はいらっしゃいます”との答え。それでGOとしました。

4戸で始まったリノベーション、そのうち1戸は1LDK,もう一つは2LDK/1LDK併用型、後の2戸は2LDKでスタートしましたが、その後も1LDKをベースとし、サービスルームを併用したりと、リノベーションのバリエーションはどんどん広がっていきました。